目的・支配・システム

Politische Planung. Aufsaetze zur Soziologie von Politik und Verwaltung

Politische Planung. Aufsaetze zur Soziologie von Politik und Verwaltung

に所収の「目的・支配・システム――Max Weberの基礎概念と前提」(Zweck - Herrschaft - System: Grundbegriffe und Prämissen Max Webers)の翻訳。研究会は7月10日(月)。

  • 1964年のヴェーバー生誕百周年で、ヴェーバーの基本前提はもう古くて使えないよと言っちゃった論文。
  • 現在、第3節(48段落)までの粗訳が終わっていて、現在註をつけながら文章手直し中。
  • 第1節終了(10段落まで)。

ヴェーバーは、支配というのは、どんな目的にも対応できる一般化された手段である、というテーゼで目的/手段モデルと命令モデルを結びつけたけど、行為の合理性とシステムの合理性を同種のものと考えることはできないよ。以下、第2節では目的モデルを、第3節では命令モデルを、近年の組織研究の知見に照らして棄却するよ。

  • 第2節終了(27段落まで)。

組織の全体/部分を目的/手段と対応させる組織の目的モデル。その批判――
(1)目的は手段を指定しない。
(2)合理化という観点から目的/手段図式は機能的等価物と交換可能である。
(3)目的/手段図式は内部矛盾を排除しない。
(4)組織目的が複数あって互いに矛盾していてもよい。
(5)全員が組織目的に同意している必要はない。
(6)組織目的は行為者の動機にならない。
(7)組織目的は変更可能である。
(8)組織目的の充足は組織の存立を保障しない。
目的合理性は行為者から距離を取れていないので科学的分析として不十分。かつては距離化のために、目的なんてイデオロギーにすぎない、虚偽意識だという因果図式が採用されていたが、今では機能的システム理論になっている。とはいえそれは後回し。ヴェーバーは目的モデルの問題点に気づいていて、それを命令モデルで補完しようとした。だから次の節では命令モデルの批判をしよう。