澤井マンハイム

カール・マンハイム―時代を診断する亡命者 (シリーズ世界の社会学・日本の社会学)

カール・マンハイム―時代を診断する亡命者 (シリーズ世界の社会学・日本の社会学)

  • 第1章 「時代を診断する亡命者」。

面白いです。
ブダペストハイデルベルク→フランクフルト→ロンドン・・・マンハイム先生もご苦労されたのですね。しかし常勤について一年で死んでしまうとは・・・

  • 第2章 「文化と知識の社会学」。

社会が分化して、いろんな生き方があることがわかって、自分の生き方に没入できなくなって、不安になって、リバウンドでファシズムにいたる、と。こういう「生からの距離化」と「再原始化」の悪循環から抜け出して「実験的生活」を確保せよということだが・・・これは単にしっかりやれ、といっているだけなのか、より深い何らかの基礎があるのか。ルーマン社会学的啓蒙の話とも絡めて興味深いテーマだと思いました。

  • 第3章 「近代を診断する社会学」。

やっぱり規範的要請なのか。それで人々の意識変革が必要で、だから教育を重視するのか。しかしこういう、人々の心のもちように依存する(つまり教育が全面的に成功しないと成り立たない)社会構想というのは、あとは知らんでー、という放置っぽい感じがしてしまうような気がします。