暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス)

暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス)

 やっと上巻読み終えた。ひたすら長いだけ(650頁もあって2人しか死んでない)。著者は「決して無駄に長いわけではありません。まずはこの巨大な異形の館の、幾重もの謎が潜む薄闇の中を、ゆるりとご探索ください」とか最初の挨拶で書いていて、そういう雰囲気を期待していたのだが、全然そんな感じなし。「闇」とか「暗黒」とか言葉だけ書いたって駄目なのです。
 あとなんで長いかというと、主人公が疑問に思ったことをすぐ質問しないから。「昔密室で人間消失事件があった」とか聞かされたら、「え、誰が? どういう風に?」と聞くのが普通でしょうが。だけど主人公は聞かないであとから謎だ謎だという。読者は「聞いたらええやん」といらいらするばかりで、別に謎とも思わんわけだ。上巻最終章で主人公が「疑問点の整理」とか始めてしまうのは、読者が謎の中に素直にのめりこめないので、著者が「ここを謎と思って読んでねー」と手引きしている構図。
 下巻において、以上の不満が無知なるがゆえの難癖であったと思えることを期待します。