Anne Fletcher監督『27 Dresses』 (邦題:幸せになるための27のドレス)

The Devil Wears Prada』と同じ脚本家Aline Brosh McKennaの脚本だが、『Prada』の魅力が脚本以外のところにあって脚本にはないことがよくわかる。実際、プロットはあんまりな感じだったし。
で、この映画だが、タイトルの「ドレス」に惹かれてオシャレな映像を期待した人は、ぜひ『Prada』の方を観るべき。この映画にはそういうのまったく出てこないので。
まず、「27のドレス」というのがウェディングドレスではなくて、主人公がこれまでbridesmaidとして、友人の結婚式で着てきたドレスである。 google:image:bridesmaid をみればわかるように、bridesmaidというのは基本的にダサい格好をするのが役目みたいなものであり、それに加えて、この映画で出てくるのは下品なコスプレドレスにすぎず、素敵とかお洒落とは無縁の代物なのだ(日本の着物をモチーフにしたのもある)。ただ単に、女優にコスプレさせただけ。
プロットも、姉妹の確執が軸になるわけだが、派手(で下品)な妹が地味な姉の片想いの上司を奪うというのはいいとしても、母親の形見のウェディングドレスを、妹が無断で切り刻んで新しいドレスに仕立て直してしまう、というのは、極端すぎて現実味がないし、もしほんとにやったら、はっきりいって関係の修復は不可能だと思う。で、姉の方は報復として、妹の婚約披露パーティかなんかで、関係者全員の前で妹を侮辱するスライドを映して破談にしてしまうわけで、これもやっぱり修復不能な訣別を意味しているはずなのだが、なんとそのあと、ちょっと口喧嘩しただけで仲直りしてしまう。なんだそれ。同じことが、主人公と、その恋の相手役の間にも言える。要するに、ハッピーエンドの予定調和なのに、途中で起こる危機が極端すぎて、力技で調和させなくてはいけなくなっているということであって、つまりは脚本家の責任だ。
あと、相手役のJames Marsdenは『Enchanted』でバカにしか見えない王子様をやっていた人だが、今作でもバカ顔を引きずっていた。というか、伊藤英明に似てるよね。