Andrew Adamson監督『The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe』 (邦題:ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女)

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女 [Blu-ray]

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末っ子のLucyがかわいくていいのと、白い魔女のTilda Swintonの気品のある無表情とか、急に瞳が黒くなるのが不気味だったりしてよかった。
それ以外は、まあ別に、普通という感じ。主役の兄弟姉妹はロンドン大空襲から田舎に疎開してきているわけだが、Harry Potterのようにいじめられているわけでもないので、異世界で英雄となることにカタルシスが感じられない。また、映画冒頭で、汽車で疎開する途中の、1940年代の英国の田舎の風景が描かれていて、それがすでにして十分に魅力的なので、そこからさらにファンタジーの世界に迷い込んでも、違いがあまり感じられないというか、屋上に屋を重ねている感じ。最近観たのでいうと『ブレイブストーリー』や『エスカフローネ』が、現代の都会からファンタジー世界に移行するのとは全然印象が違う。
あと、なんといってもLucyのかわいさの反面、Mr. Tumnusが、幼児性愛の変態にしか見えない。よく考えたらこいつほぼ裸で徘徊してるし。最後とか手つないでみたりしてるし。要注意だこいつ。
映画の最後、四人はNarniaで十数年暮らして成長し、長男なんか髭まで生やして、Lucyも大人になってみんなで馬乗り回している。その途中で、その世界への入口であった衣装ダンスを見つけて、そういえば・・・とか思い出すわけだが。まず、こいつらは、ナチの空襲の中、子供たちのことを想い続けているはずの母親のことは完全に忘れてしまっている。なんてやつらだ。次に、衣装ダンスを通って現実世界に戻ると、体は子供に戻ってしまう。しかし異世界での記憶は維持されているようなので、つまり「見た目は子供、頭脳は大人」状態である。これはちょっとやばいんじゃないか。社会にうまく適応できるか心配だ。
ちなみに、四人が疎開する先は、田舎の「教授」の家なのだが、ものすごく立派な屋敷である。もちろん、毎週委員会があったり、授業を四つも五つももったり、何百人ものレポートを読んだり、センター試験の監督をしたりすることもないのだろうなあ・・・いや要らんことを・・・