Tim Story監督『Fantastic Four: Rise of the Silver Surfer』 (邦題:ファンタスティック・フォー:銀河の危機)

まず、銀河の危機なんて大げさなものではなく、たかだか地球の危機なので、邦題は嘘。あとJessica Albaはカツラの生え際部分が時代劇並にバレバレ。
一言でいうと、悪い奴の手先になっていたSilver Surferが、透明女に助けてもらって自我に目覚め、地球を守るために自殺するという話。こいつの心理描写があまりに甘いので、観終わって考えるべき何物も残らない。こんなのには子供だってだまされないぞ。
それから、前作の悪役のDr. Doomが復活するが、この人は天才科学者のはずなのに、Silver Surferのボードを奪って馬鹿みたいに乗り回しているだけ。いやお前、地球をすっぽり包みこむほどの巨大な宇宙雲がそこまで来ているのがわからんのか。あほか。
ヒーロー物の続編らしく、各人が悩む要素も入っているが、これも掘り下げが浅くてお話にならない。特に、マスコミ、パパラッチがうるさくて結婚式が落ち着いてできない、もっと普通の幸せが欲しいという透明女の希望は、ラストで、「じゃあ、日本でやろうぜ」という馬鹿みたいな解決でお茶を濁される。なんか変な鳥居のあるオープンスペースで、Albaは変なエリカ様みたいな着物姿で、でもキリスト教式で、という、お前らほんとにそんな結婚式がしたかったのかよ、という有様。もちろん臨席者は、見ず知らずの日本人たちだし、子供たちは浴衣着てるし。夏祭りか。結局、途中で事件が起こって飛んで行っちゃうし。米国で普通にやった方がよかったんじゃないの?
今作観ててつくづく思ったけど、この人たちの超人パワーって、所詮、体がゴムみたいに伸びるとか、透明になるとか、ある程度のバリアが張れるとか、火を操るとか、飛べるとか、体が固くて力持ちとか、程度のものなのであって、地球の危機を救うといった大きな話には向いていない。どう考えても軍隊の方が強いのであって、米軍とかNASAとかなにしてんだという話である。
ところで、なんでシベリアに米軍の基地があるのだろう。米国人はそういうの気にならないのか。