Francis Ford Coppola監督『Youth Without Youth』 (邦題:コッポラの胡蝶の夢)

コッポラの胡蝶の夢 [Blu-ray]

コッポラの胡蝶の夢 [Blu-ray]

全然予備知識なしに観たのだが、鑑賞中も鑑賞後も、ああ、巨匠の若撮りのあれで、頭でっかちで技術がついてきてない時代のやつか、と思っていたら、なんと2007年の近作だという。それでこの出来って、ちょっとひどいよなあ。
なんか70代の老学者がブカレストで自殺しようと思ってたら雷に打たれて、病院で目覚めたら傷は全快、年齢も若返っていて、超人的な記憶力+超能力が身についていて、ドッペルゲンガーが発生していて、隣室の女が誘ってきて、そしたらナチスのスパイで、逃げて、スイスでテレキネシス発動して、ハイキングしてたら元カノに似た女がいて、その女が雷に打たれてサンスクリット語喋りだして、インド行ったら女の言う通りの遺跡が見つかって、女とマルタ島で暮らそうとしたら、夜中に古代語喋りだしたので、これを使ってライフワークの「言語の起源」研究を完成させようとしたら、女が一気に老け出して、やばいから別れようってことで、孤独を抱えてブカレストに戻って、鏡割ってドッペルゲンガー消して、馴染みのカフェにいったらとっくに死んだはずの元同僚たちが集まってきて、なにこれ夢? 荘子胡蝶の夢とか言ってて、とか言ってたら自分も老けてきて、外出たら歯が抜けて凍死しちゃった、という話。
たぶん、大雑把にでも話の流れをつかんでから観ないと、何がなんやらさっぱりわからんと思う。
特撮がチープでダサいというのもあれだし、そもそもいろんなテーマを詰め込みすぎで、まったく消化できてないのが致命傷。
詰め込もうとしたのであろうテーマを列挙すると、生き直し、人間の二面性、輪廻転生、真理探究と愛のディレンマ、時間を超越した愛、死へと向かう不安、自己犠牲、夢と現、・・・とかかなあ。これらは、各シーンを思い出して意図を汲んだものであって、映画で描かれているものではない。観ている間は、あまりの迷走感にめまいがしてくる。わけわかんなさこそが夢の世界の演出だというなら、最後の「胡蝶の夢」テーマをもっと掘り下げてくれないと。ほんととってつけただけという感じしかしないし、東洋思想出しとけばイケてね? という安易さを感じる。