Steven Soderbergh監督『Ocean's Twelve』 (邦題:オーシャンズ12)

オーシャンズ12 [Blu-ray]

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30分くらい観てから、こりゃ英語字幕じゃ無理だと思って日本語字幕で観直した。
前作の『Ocean's Eleven』よりつまらない、という人が結構いるけど、そうかなあ。動機づけの部分とか、トリックの部分とかは、前作だってたいしたことなかったわけで。そういう映画として観るとよくないのは前作のときから変わってないと思うけど。
今作で一番変わっているのは、 George Clooney の存在感が減って、他の人たちのフィーチャーされ具合が増したというところか。特に、アホ顔の Matt Damon がちゃんとアホの役を貫徹していて、なんか嬉しかった。今回初登場、銭形役の Catherine Zeta-Jones は Brad Pitt の元カノで、なかなかカッコよかったが、最後簡単に落ちすぎかな。浦沢直樹の漫画に出てきそうな Robbie Coltrane の役名が Matsui というのはいまいち意味がわからん。オランダにはある名前なのか、それとも松井なのか。 Julia Roberts の Tess は、「似てると思わないか」というレベルじゃないぞ。いや本人だからしょうがないけど。あと中国雑技団みたいなやつが、どう考えても前作から太りすぎ。
さて、前作は Clooney がひたすらカッコいい映画だったが、今作では、それは半減している。そもそも、映画冒頭で、前作の敵役の Andy Garcia が各自を訪ねてきて、「盗んだ金を利子つけて返せ」と言うのだが、みんなそれに「サーセン」的に完全に従ってしまう。前作は、 Clooney がGarciaの鼻を明かす、というのが主題だったのに、今作でなんでそんな簡単に従ってしまうのかの説明がないため、 Ocean 一味はカッコいいというよりはおもしろいこそ泥一味という感じになっている。
まあ、軽妙でスタイリッシュな「感じ」、オシャレな「感じ」はちゃんと出ているので、それは楽しめる。結構好きだ。ただ、今回鼻を明かされる役の、天才泥棒 Night Fox こと Vincent Cassel が、ちょっと弱々しくて、むしろかわいそうだった。あと、レーザーセンサーを踊りながらくぐり抜ける、というのは誰が最初に考えたのか知らないが、だらだらするのでない方がいい(肉眼で見えるものじゃないだろうに、ゴーグルもつけてないし)。