Roland Emmerich監督『The Patriot』(邦題:パトリオット)

独立戦争における民兵ゲリラ部隊の活躍を描いた戦争娯楽映画。
英軍にものすごく冷酷非道の悪役がいて、主人公の参戦動機はそいつに息子を殺されたこと(今後も家族が殺される危険があること)にあるとしか思えないので、どのへんが「愛国者」なのか、描ききれていない。「愛国者」であるとはどういうことか、という点に興味を持って観たらがっかりする。
それから、黒人奴隷の描写があまっちろい感じがする。18世紀の米国では、むしろ黒人の方が幸せそうに見える。白人は吊るされたり、生きたまま焼き殺されたりするのに較べて。
主人公たちはゲリラ戦をやるが、面白いのは正規軍同士の横隊戦術での戦い方だ。広い平地に、両方向から、楽隊の演奏に合わせて、横一列に並んだ銃兵が行進してくる。まるで運動会の行進のように、両軍とも10メートルくらいの間隔になるまできっちり行進し、そこで整列。あとは、交互に一斉射撃をしあう。横一列の人間の壁だから、必ず命中し、ばたばた倒れていくが、兵士たちは微動だにしない。自軍の番が来たら装填して発砲し、そうでないときは直立不動を維持する。儀式をやっているみたいだ。
軍人になって敵兵を殺しまくるんだーというテンションでは全然ない。撃たれるのわかってても、動かないで整列していなければならないわけで、完全に歯車の一つである。こんな形の戦争に志願するというのはどんな心理なのだろうというところが非常に気になる。