Michael Curtiz監督『Casablanca』(邦題:カサブランカ)

カサブランカ [Blu-ray]

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確かに、いろいろ面白いセリフはあるけど、それだけかなあ。
いちばん不満なのは、なぜ人々がカサブランカを一刻も早く脱出したがっているのかがよくわからない点。特に何をすることもなく、毎日のように「リックの店」で酒飲んで遊んでいるだけというモラトリアム=夏休みなわけで。最高じゃないですか? もちろん、カサブランカを支配しているのは親独ヴィシー政権のフランスであり、だからドイツ軍人が我が物顔で歩いているというのはあるだろうけど、それこそリックを始めとして反骨的な人はたくさんいるし、みんなで「ラ・マルセイエーズ」を合唱できる空間でもある。不穏な雰囲気はありつつも、しかし魅力的であるような「終りなき日常」だと感じてしまう。妻が体を売ってまで夫を脱出させたいような地獄かなあ。
あと、子供が一人も出てこない。それと密接に関わることとして、主要登場人物の選択が人間離れして英雄的(であるがゆえに感動もない。カッコいいと感じる人はいるだろうが)。ボガートの顔がでかすぎる。おもちゃの飛行機が着陸した。撃たれても血は出ない。とかとか。