M. Night Shyamalan監督『Lady in the Water』

レディ・イン・ザ・ウォーター [Blu-ray]

レディ・イン・ザ・ウォーター [Blu-ray]

何か物語をつくる際に、ここまでいい加減につくれるのかという一種の感動すら覚える、ここんとこ最高の駄作。
まず、タイトルバックの時点で、水の精と人間の前史みたいなのが語られてしまうがゆえに、本編で出てくる女性(ストーリー)が「謎」になっていない。他方、観客にとって謎でないからといって、登場人物にとってもそうである必然性はないのにもかかわらず、たいした説明も要することなく、出てくる人が全員、水の精とか水の世界みたいなものの存在をまったく疑わずに受け入れる。君たちの世界観はいま革命的な変化をこうむっているのではないのか!とつっこみたくなる。
ストーリー(これが水の精の名前なのだ。ややこしい)を襲う、オオカミ的なクリーチャーがあまりにも作り物で恐くない。というか、結構すごい牙が生えているのに、ストーリーは何回襲われても引っかき傷しか負わない。などなど、突っ込みだしたらきりがない。観ながら10回は「なんじゃそれ」といったと思う。
中でも、朝鮮人のおばさんが教えてくれる東洋のおとぎ話(「東洋の」ってなんやねん)と、物語の展開がまったく同じというのは、ありえないにも程があるだろう。なんで東洋のおとぎ話に出てくる水の精が白人やねん。
正直、この話の展開に一縷の望みがあるとすれば、全部、主人公であるマンション管理人の狂った妄想だったという夢オチだろうな・・・と期待するも、それは裏切られ残念ながらすべて現実として処理されることに。でも、観終えてからWikipediaで、ストーリーが会いに来たインド人の物書きの青年を、Shyamalan監督自身が演じていた(ラジー賞助演男優賞とってんじゃん)と知って、あ、そうか、全部監督の狂った妄想だったのかと納得。監督が嫌っているらしい映画批評家も(この人だけが)作中で惨殺されていたし。Shyamalan扮するインド人青年の本が、後の米国大統領に思想的影響を与えて世界を変革することになるのだ! (そしてすでに30代と思しき青年の姉は、まだ相手もいないように見えるのに、このあと7人も子供を産むのだ!)
ほんとの話、このインド人役をShyamalanが演ってなかったら、と思うと・・・ やっぱShyamalanはクソだな、やりたい放題だなwww とかすら言えなくなっていたわけで、この最低な映画を救っているのはこの、一見ミスキャストに見える配役であろう、とか言ってみた。