PDF号外というのがあるそうで――趣味の世界

和歌山の砒素カレー事件の死刑確定で、毎日新聞がPDF号外というのを出していた。こういうの初めて見たのですが、前からあるのかな(他の社もやっている?)。面倒なので調べてないですが。
ネットでリアルタイムに記事が載る、つまり形式的には全部「号外」な中で、わざわざPDFで号外と銘打って出す、というところに、もはや完全に新聞は趣味の世界という感じがして、しかし書いている方はその自覚があるのかしらという懸念もあって、どうなんでしょう。
まあもともと、号外なんて、〈人が歩いている〉ごく一部の都会にしか関係のない代物であって、そういえば(何の記事かは忘れたけど)初めて号外配っているのを見たときは、俺も東京に来たんだなあと感慨深かったりしたような。そういう意味では、号外というのは最初から象徴的なものでしかないといえばそうですね。
ちなみに、いつものようにいらんことを蛇足で書くと、分厚いハードカバーの研究書というのは、やっぱりもはや趣味の世界のものであって、しかしもともと、特に文系の研究書というのは書き手と読者がどちらも趣味の世界の住人なので、こちらは特に衰退するようなあれではないのかもしれない。ただ私は実用主義者なので、そういうのにはついていけないですが。
そういえば、薄い記憶を掘り返してみると、むかし学部の頃に、誰だったか忘れたけど授業で聞いた話。某Hの主著の訳書が出るときに、著者のHは学生の便を考慮して、高価で立派なハードカバー版といっしょに、粗末だけど廉価なソフトカバー版を出すように希望したのだけど、結局、高価なハードカバーが、しかも三分冊、という著者の希望とは正反対のことになった、とか。ほんとかどうかは知りません。でもまあ原書なら3500円のものが邦訳だと1万5000円するというのは事実(英訳は二分冊で、amazon.comだと4500円程度だけど、amazon.co.jpだと8000円する)。どうでもいいけど、この件で、Hって結構いい奴じゃん、と見直した次第。
いずれにせよ、全体的な体制の是非はともかくとしても、学生に、研究書はすべからく買って読むべし、などとはとても言えないのが現状であることは確か。
うーん、誰でも知ってることしか書いてないな。発見が何もないorz (Hがいい奴だという噂くらいか。)