環境危機時計の調査の回収率は2割未満

くだらない話だが。

http://www.asahi.com/eco/TKY200809100236.html
地球温暖化などによる人類存続の危機を示す「環境危機時計」は、過去最悪の9時33分――。旭硝子財団(東京都)は10日、世界の専門家732人から回答を得たアンケートの結果を発表した。
環境危機時計は0時から12時で表され、時間が進むほど不安度が高いことを示す。財団が92年から国内外の専門家を対象に毎年調査している。地球全体の平均は前年より2分進み過去最悪を更新した。

旭硝子財団のサイトに毎年の調査結果がまとめられている。それ見てみたら、ほとんど毎年回収率2割未満なのね。(そもそも母集団である「有識者」というのが何者なのかはともかくとしても。)送付数と回収数、それから回収率のグラフを描いてみた(第6回は送付数が不明)。


送付数回収数回収率
第5回(1996年)319758918.4
第6回(1997年)613
第7回(1998年)331559517.9
第8回(1999年)322059718.5
第9回(2000年)343170220.5
第10回(2001年)393868417.3
第11回(2002年)398663916.0
第12回(2003年)447980618.0
第13回(2004年)360980322.2
第14回(2005年)364370919.5
第15回(2006年)398965516.4
第16回(2007年)389071518.3
第17回(2008年)436973216.8

それから、監修の森島昭夫という人が、第13回(2004年)の調査についてこんなコメントを。

1.調査の回答率について(p2)
今年度は、送付数3,609に対して回答数803であり、回答率22.2%である(日本については36.9%)。例年とほぼ同じ回答率である。アンケート送付による調査としては、まずまずの回答率であり、回答数としても引用可能な数といえよう。

偉い先生がそういうんじゃしかたがないか・・・

追記

ところで、今回の発表(9時33分)を受けて、人類滅亡まであと2時間27分とかいっている人がいるが、そもそもこの調査はそんな趣旨のものではない。つまり、人類の誕生から滅亡までの時間を12時間に圧縮したときに、いま何時間たったか(あと何時間残っているか)を聞いているわけではない。回答者の不安感を時計の目盛りで聞いているだけだ。調査票の質問文をちゃんと確認しよう。(もちろん、調査者がそういう誤解を狙っている可能性はかなり高いだろう。時計にする意味とか全然ないし。)

あなたは現在の地球環境の悪化にともなう人類存続の危機の程度をどのように感じていますか?時計の針に例えて0:01 〜12:00 の範囲で○○時○○分と答えてください。

別に12:00で人類が滅亡するわけではない。そう回答した人の不安感がマックスなだけである。しかしこの「回答例」の「10時35分」はあからさまだなあ。

そもそも報道が誤導している件

Googleのニュース検索で引っかかったものだけあげてみよう。

地球温暖化などによる人類存続の危機を示す「環境危機時計」

環境悪化による人類滅亡の時刻を12時とする「環境危機時計」

環境悪化に伴う人類存続の危機の指標とされる「環境危機時計」

地球環境の悪化による人類存続の危機の度合いを示す「環境危機時計」

地球環境の悪化に伴って回答者が人類の存続に抱く危機感を示す「環境危機時計」

ちゃんと書けているのは日経BPのみ。読売は最悪だ。