玄田有史、曲沼美恵『ニート――フリーターでもなく失業者でもなく』

ニート―フリーターでもなく失業者でもなく (幻冬舎文庫)

ニート―フリーターでもなく失業者でもなく (幻冬舎文庫)

読んだのは単行本。「ニート」増加の原因はまだ不明、ある人が「ニート」になる理由は多様、としながらも、「ニート」というのがどんな人かについては、結構決めてかかっている。そのへんはまあ本田さんの批判があるので。
さて働く気がない人を働かせようとする場合に、働くのも楽しいよという戦略は(マクロには)だめだと思う。結婚する気がない人に結婚生活の楽しさを説いても(マクロには)だめなのと同じで。労働の悦びなんて、いやいややっているなかで偶然降ってくるものでしかありえないと思う。はじめから期待して入っていけば失望するしかないだろう。
まあ仕事にしても結婚にしても、もっと効果的なのは差別では? 差別なしに、全員(あるいは大多数)が一つの領域に集結するなんてことはありそうにないと思うのだが。