阿部真大『働きすぎる若者たち――「自分探し」の果てに』

搾取される若者たち』にはあった、若者がワーカホリックになっていく様子とその弊害の描写が、本書ではかなり薄い。唯一といっていい事例は、介護にはまってバレエダンサーの夢を諦めたAさんの話(p. 40)だが、なんかなあ、ワーカホリックというほど病的な事例とは思えない。むしろ、介護の専門学校に行って、介護福祉士をとって、介護施設に就職してなお、バレエダンサーを夢見て毎晩練習に通っているという状態の方が(こういったら失礼かもしれないけど)病的な感じがする。うまくやめられて良かったんじゃないの?とか。
他方で、阿部くんの理論的な図式は明確に示されていて、そんな単純ではないだろうと思いつつも論点の整理に役立つと感じた。
ただ後半、急に文章が難しくなるのはどうかと思う。