上野千鶴子『おひとりさまの老後』

おひとりさまの老後

おひとりさまの老後

amazonのレヴューににアンチが湧いていてアレだ。金と友人が豊富なデキル女しか想定していない? かりにそうだとしても、そうでない人たちだって「おひとりさまの老後」を迎えることに変わりはない。本書に書かれている方法ではうまくいかないのであれば、それなら何らかの方法を他に見つけないといけないのは事実。ひとりで老いて死ぬこと、他人に介護されることにはスキルが必要、というのが本書の基本的なメッセージであり、スキルの例として著者や著者の知人の成功例が載っている。読者は参考になるところは参考にし、自分で編み出すべきところはそうすればいいだけのこと。そもそも本書に対するアンチは、無根拠なポックリ信者か、年をとったら子供が面倒をみてくれる(べきである、違いない)、子供に面倒を見てもらうのが最上、と思っている人だけ。本書はたしかに楽観的な文体で書かれている(これはもちろんわざと)が、本書に対するアンチはそれよりもはるかに楽観的な立場でしかないということに気づくべき。
まあそれはともかく、

このところ、わたしが勤務する東京大学社会学研究室でも院生同士のカップルが増えているが、よくよくストレスの多い環境なのだろうと思えてくる。彼らは先の見通しもなく、お互いに競争のもとに置かれている。そんなきびしい環境のなかで研究を続けていれば、苦楽をともにして支え合う同志がほしくなるのも無理はない。相手が異姓であればライバル意識も緩和される。だが、危機的状況が去れば、相手に対するニーズも変わる。そのときになってから、そうかんたんに相手を変えられないのが難点だが。(p. 107)

え、えーと、「だが」以降は何をおっしゃりたいのでしょうか・・・