ラドクリフブラウン「親族システムの研究」

  • A. R. Radcliffe-Brown, 1941, "The Study of Kinship Systems," The Journal of the Royal Anthropological Institute of Great Britain and Ireland, Vol. 71, No. 1/2 (1941), pp. 1-18, reprinted in: A. R. Radcliffe-Brown, 1952, Structure and Function in Primitive Society, Cohen & West, pp. 49-89

社会学的分析という方法を用いたとして、そこからどんな結果が期待できるでしょうか。もちろん、社会現象の説明というのはすべからく歴史的な説明でないといけないとか、心理学的な説明、つまり個人とか個人の動機から説明しなければいけないと思っている人にとって満足の行くような説明というのは出てきようがありませんが、次の三つの結果は期待できると考えられます。

  1. 親族システムの体系的な分類が可能になります。現象を科学的に扱う際には、体系的な分類が不可欠であり、体系的な分類は一般的な性質に基づいて行われないといけません。
  2. 特定のシステムが示す特定の性質を理解することが可能になります。それには二通りの道があります。(a)その性質が、組織化した全体の一部分だということを示すやり方と、(b)その性質があるクラスの現象の一例だということを示すやり方です。この講演では、チョクトーとオマハの用語系が、ヤラルデの用語系も一例として含むようなクラスの一例であって、さらにそれらがすべて、系族の連帯と存続に関する一般原理の適用事例であり、この一般原理は非常に多数の社会において様々な形で現象していることを示しました。
  3. 結局、社会学的分析だけが、人間社会の本質、つまり過去現在未来の社会すべてが持つ普遍的な性格についての妥当な一般化を得るための唯一の方法なのです。もちろん、我々が社会学的法則呼ぶのはまさにこの一般化のことです。(p. 86)