障害者・障がい者

 「障害者」は「害」が入っていて感じが悪いから「障がい者」と書くべきだ、いや漢字の正しい意味に立ち返って「障碍者」「障礙者」と書くべきだ、といった議論があって、とりわけ「障がい者」というのはよく見るようになってきた。
 しかしこの議論変だなあと思う。たとえば「被害者」には「害」が入っているが誰も文句は言わない。これはたぶん「害を被った者」と読み下せるからで、だから、「害」が入っているから被害者は害なのか、などとは誰も思わない。というわけで「害」が入っているとよくない、とは一般ににはいえない。
 他方、「障がい者」「障碍者」「障礙者」と書けば問題は解決するのかといえば、そのような名称で呼ばれる人自身が「障がい」「障碍」「障礙」なのか、という疑問が出てくる可能性がある(し、「障害者は害なのか」という流れからすると出てきてしかるべきだと思う)。「障害物」(「障がい物」「障碍物」「障礙物」)というと、「その物がショウガイ」なのであるから、「ショウガイ者」といえば「その者がショウガイ」という解釈も、ある程度可能である。
 なので、「障害」の表記を改めるというのは本質ではない(なので以下面倒なので「障害」と書く)。むしろ「その人が障害」とは読めず、「障害を持つ人」と読めるような言葉にすべきだと思う。一つの候補としては「有障害者」だろうか。