恋という字を辞書で引いたぞ

 ところでプッチモニの「ちょこっとLOVE」という歌に「恋という字を 辞書で引いたぞ」という一節があるが、(「語」ではなく)「字」を引いたということは漢字辞典だと考えていいのだろうか。しかし辞書一般のことを「字引き」ということから考えると、必ずしもそうとは言い切れない気もする。
 というわけで「恋」という言葉を辞書(『広辞苑』第四版)で引いてみたところ、

一緒に生活できない人や亡くなった人に強くひかれて、切なく思うこと。また、そのこころ。

とあった。英語のI miss you.に近いのかな。そういわれると「恋しい」というのは「会えない」ということを含意している気がする。近くにいるときは「愛しい(いとしい)」かな。
(「一緒に生活できない人や亡くなった人」って書いてある横に「あなたの名前 そこに足しておいたぞ」というのはなかなか縁起でもない感じがしないでもない。)
 念のため(何の念やねん)『大辞林』第二版も見てみたら

(1)異性に強く惹かれ、会いたい、ひとりじめにしたい、一緒になりたいと思う気持ち。
(2)古くは、異性に限らず、植物・土地・古都・季節・過去の時など、目の前にない対象を慕う心にいう。

となっていて、不可能性を含んでいた広辞苑の説明に較べて障碍的成分が弱まっている感じがする。(ただ「会いたい、ひとりじめにしたい、一緒になりたい」というのは、「会っていない、自分だけのものではない、一緒でない」ことを含意する。)
 ちなみに「辞書で引く」なのか「辞書を引く」なのか、よくわからない。
 さらに、哲学とかの本で、「存在とは何だろう。手許の辞書を引いてみると・・・」とか出てくるとがっかりするのでやめてほしい。