野矢茂樹『無限論の教室』

無限論の教室 (講談社現代新書)

無限論の教室 (講談社現代新書)

『無限論の教室』をamazonで買う!
 突然、対角線論法がわからなくなって、この本を引っ張り出して再読する。何がわからなくなったかというと、どうして無限小数を一列に並べて対角線上の数字を変えて並べた数が最初の列の中に入ってないといえるのか、で、これは何年かに一回はわからなくなってそのつどわかったつもりになるポイント。
 で、対角線論法が出てくる第五週まで読んでわかった。ああ、列に並んでいるどの数とも、対角線上の数字が違うからか。そりゃそうだな。わかるとなんでわからなかったのかがわからなくなる。この本で問題視されている実無限的なイメージで考えてしまっているからかもしれないが、それほど高級なものではないかもしれない。
 いずれにしても、可能無限的に、1行目とは小数第1位が、2行目とは第2位が、・・・n行目とは第n位が違う(ようにつくった)ので任意の行の数と異なる、だからどの行とも異なる数ができてしまうと考えればよくわかる。

追記

「じゃあ、ベッタリニョキニョキ。この0-1列は縦軸の点yとして表わされた集合がどのような集合であるかを表現しています。点 (x, y) が1だとすれば、yはxを要素としてもつということですし、0だとすれば、yはxを要素としてもたないということです。
 では、問題。例えば、(偶数, ポチ) の点は0でしょうか、1でしょうか」
「ポチは偶数ですか?」タカムラさんが尋ねた。
「ポチは犬です」タジマ先生が答えた。
「じゃあ、ポチは偶数ではありませんから、0です」
(中略)
「じゃあ、ちょっと難しくなります。(自然数, 偶数) はどうでしょう」
ぼくの方を見て言った。ええと、そうか。
「それも0です。偶数は自然数の部分集合だけど、要素じゃないですから」
(pp. 155-156)

これ逆だよなあ。(偶数, ポチ)が0か1かというのは、「偶数集合はポチ集合の要素かどうか」ということだし、(自然数, 偶数)が0か1かというのは、「自然数集合は偶数集合の要素かどうか」ということなんだから。(ポチ, 偶数)、(偶数, 自然数)と書かないといけないはず。(見ているのは第一刷。今は直っているかもしれない。)