唐沢俊一『トンデモ怪書録』

トンデモ怪書録―僕はこんな奇妙な本を読んできた

トンデモ怪書録―僕はこんな奇妙な本を読んできた

岡村長之助『実証・人類および全脊椎動物誕生の地――日本』について唐沢先生は

「これを人類のみについて考察すれば、4億年の昔、身長3ないし4ミリのものが現代では1700ミリに成長していることから計算して、身長が2倍に大きくなるためには、およそ4400万年を要したことになる。したがって現代人は今後4400万年後には現在の身長の2倍になることは必至である」
と書いているだけだ。(計算がむちゃくちゃだ。なんで最初の4400万年で4ミリから1700ミリと425倍にもなった身長が、次の4400万年でたった2倍にしきゃならないんだ?)(p. 208)

と突っ込んでいるが、これは唐沢先生の勇み足。岡村先生は人類の身長が4億年で3〜4ミリから1700ミリになったといっているのであって、その場合、一定比率で身長が伸びるなら2倍になるには4400万年かかるという議論をしている。この計算は間違っていない。

(追記)
岡村先生が栄誉あるイグノーベル賞(生物多様性賞)を受賞していることを知った(1996年)。ソーカル事件の『ソーシャル・テクスト』の編集者の文学賞受賞と同年だ。