ルーマン『社会の分化』の訳者序論
- 作者: Niklas Luhmann
- 出版社/メーカー: Columbia Univ Pr
- 発売日: 1984/04/01
- メディア: ペーパーバック
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- 「社会的分化という考え方」(The Idea of Social Differentiation)
- 「脱人格化と近代社会の抽象性」(Depersonalization and the Abstractness of Modern Society)
『公式組織の機能と派生問題』の紹介。
- 「分化と人権」(Differentiation and the Bourgeois Rights of Man)
『制度としての基本権』の紹介。
- 「ルーマンの一般理論図式」(Luhmann's General Theoretical Scheme)
- 「ハーバーマス―ルーマン論争」(The Habermas-Luhmann Controversy)
- 「法社会学」(The Sociology of Law)
ルーマンは法的な決定において条件プログラムを用いることそれ自体については、明らかにこれを支持しているが、その論拠においても同様の規則効用主義が見られる。『法システムと法解釈学』でルーマンは、条件プログラムというのは(特定の決定が引き起こす)結果に対して無関心であるがゆえに、近代的な法的正義の考え方を支えるものであり、より一般的にいうと、条件プログラムこそが法システムを近代社会にとって「適切」なものとしているのだ、と論じている。ここでルーマンがいっている「適切性」とは、近代社会の機能分化を崩壊させることなく、諸個人の期待を統合するという機能を充足する能力がある、ということにほかならない。ルーマンの著作を読むと、彼のアイロニー的な超然主義と懐疑主義に気づかざるをえないが、同時に、機能分化がもたらす総合的な利益に対する彼の基本的なコミットメントについても、これを見過ごすことは不可能なのである。(p. xxxvi)
そういうこと。