今井道夫『生命倫理学入門』

生命倫理学入門 (哲学教科書シリーズ)

生命倫理学入門 (哲学教科書シリーズ)

一つの章が短いので勉強もしたいけど気晴らしもしたいというときに最適。全体に、抑制の効いた筆致で好感が持てた。ただ各章末尾の「問題」に、「〜について自分の立場を書け」みたいなのが結構あって、入門書を読むような人に立場決定を求めることがよいことかどうか、疑問に思った。

  • 第1章 「生命倫理学とは何か」
  • 第2章 「健康・病気・医療」
  • 第3章 「生殖技術」
  • 第4章 「移植医療」
  • 第5章 「科学的医学の論理と倫理」
  • 第6章 「人工妊娠中絶」
  • 第7章 「安楽死
  • 第8章 「人間とは何か」
  • 第9章 「ターミナルケア
  • 第10章 「遺伝子技術」
  • 第11章 「インフォームド・コンセント
  • 第12章 「今後の医療と生命倫理学」

ただ輸血拒否の立場は、たとえそれが宗教的で非科学的と思われようと、尊重されるべきではなかろうか。輸血や血液製剤により、予想もしなかった規模の肝炎やHIVなどの感染の災害がもたらされた。結果論ではあっても、輸血拒否にも一理あったと思わざるをえない。(p. 161)

なんだそれ。結果論でしかないのに一理があるという意味がわからん。エホバの証人は予知能力があったという意味か。