二階堂黎人『名探偵水乃サトルの大冒険』・横溝『本陣殺人事件』

「ビールの家の冒険」
ヘルマフロディトス
「『本陣殺人事件』の殺人」
「空より来たる怪物」
「『本陣殺人事件』の殺人」は金田一耕助の推理の不備の指摘を含むもので、これを読むために『本陣殺人事件』を読んでおいたので結構楽しめた。あとはいつもの水乃サトルシリーズ同様つまらない。
本陣殺人事件 (角川文庫)

本陣殺人事件 (角川文庫)

「本陣殺人事件」
「車井戸はなぜ軋る」
「黒猫亭事件」
京極の『陰摩羅鬼の瑕』はここから設定を拝借しているのか、だから横溝がでてきたのか、と納得。
 ところでこの本の最後に、

本書中には、今日の人権擁護の見地に照らして、不当・不適切と思われる語句や表現がありますが、作品発表時の時代的背景と文学性を考え合わせ、著作権継承者の了解を得た上で、一部を編集部の責任において改めるにとどめました。

とあって、こういうのはよく見るのだけど、これは著作者人格権(同一性保持権)の侵害には当たらないのだろうか。この書き方だと、改変には著作権者の了解があれば十分で、かつ改変することが望ましいという編集部の前提が伺えるが、それは間違いではないのだろうか。著作権法第20条2項には同一性保持権の不適用条件が掲げられているが、編集部としては、改変に当たって、どの号に基づいて改変を行っているかを明示すべきであると思う。
(追記)
ああ違う。著者が死んだあとは60条だった。

著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

この曖昧な但し書きで改変も認められているのかな。あと60条違反に対して文句が言えるのは116条で遺族と定められているから、遺族の同意があれば問題ないわけか。
 以上、一人で文句つけて一人で納得しました。