小田中聰樹『冤罪はこうして作られる』

冤罪はこうして作られる (講談社現代新書)

冤罪はこうして作られる (講談社現代新書)

  • 序章 「冤罪に泣く人々」
  • 第1章 「再審=狭き門」

裁判官以外の者(とりわけ法律専門家)が、裁判記録や独自の調査にもとづき誤判の疑いがあるとしているものは、「誤判」として扱ってよい。現に再審で無罪となった事件は、弁護士会や支援団体や研究者がまず誤判を指摘し、裁判所がこの指摘を受け入れたものがほとんどである。(p. 30)

こういう論理無視の書き方をされると困るなあ。第二文は第一文の根拠にはなっていませんよ。再審無罪が裁判官以外の人の指摘に始まるのはある意味当然でしょうが。「犯人のほとんどは素行不良者だから、不良はみんな犯人として扱ってよい」というのと同じ理屈だということに気づかないでしょうか。

  • 第2章 「なぜ虚偽自白をするのか」
  • 第3章 「代用監獄で何がおこなわれるのか」
  • 第4章 「崩壊した誤判――松山事件」
  • 第5章 「誤判の隠蔽――布川事件

この章でいう「隠蔽」というのは、裁判所による再審請求棄却が「誤判の隠蔽に等しい」という著者の憤慨をいっているだけで、実際に隠蔽の意図があったという陰謀論的構図が証明されたわけではないので注意。

  • 第6章 「裁判官はなぜ誤るのか」
  • 第7章 「冤罪を防ぐために」

とりあえず、虚偽自白しておいて裁判のときに否定しようとしてもまず無理と覚悟しておくことくらいかな。