湯浅誠『反貧困』

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

具体性を伴った問題提起、現実に行われている対策の紹介、そしてその基礎にある、あるべき社会像についての規範論・価値論が少ない紙幅に凝縮されていて、また文章がうまい。ずっと読んでいたいと思わせる本(もちろんずっと読んでいたのでは困るが)。
ただ、副題にもなっている「すべり台社会」は、譬喩としていかがなものか。少なくとも私の経験では、すべり台というのは、途中で止まったりしてあまり滑らないイメージがある。もっとこう、滑り出したら止まらないという感じの言葉はないかなあ。